2022年07月09日
株式会社ウフル-ZENMU SDK導入事例 –
盗難のリスクがつきまとうIoTデバイスのデータを守る
セキュリティの分野で、全く新しい技術として、ZenmuTechが開発した「ZENMU」が注目を集めている。データを「無意味化」することで、情報漏洩リスクを限りなくゼロに近づける。この技術のコアであるZENMUエンジンは「ZENMU SDK」として、外部パートナーが利用することもでき、様々なサービス開発プロジェクトが動き出している。果たして、どんなソリューションが生まれようとしているのか。パートナー企業に話を聞いた。
(インタビュアー:日経BP総研イノベーションICTラボ フェロー 桔梗原 富夫)
「これから本格化するIoT時代になくてはならない技術だと感じています」
株式会社ウフル
プロダクト開発本部
本部長
竹之下 航洋 氏
桔梗原 実際にZENMU SDKを活用しているウフルは、どのようなソリューションの開発に取り組んでいるのですか。
竹之下 当社は、クラウドインテグレーション、デジタルマーケティング支援ソリューションなどを展開している企業です。加えて、近年、注力しているのがIoT事業です。
例えば、様々なデバイスとクラウドとの連携を容易に実現するIoTオーケストレーションサービス「enebular(エネブラー)」を中核に、スマホやネットワークカメラを組み合わせ、人の行動パターンを視覚化したり、カメラ映像から人の年代や感情を解析したりして、来店顧客の分析と店舗周辺の潜在客へのアプローチを支援する「O2O店舗販促・分析ソリューション」の開発などをしています。このようなIoTソリューションのセキュリティの強化を図るためZENMUを活用しています。
桔梗原 なぜIoTにZENMUが有効なのでしょうか。
竹之下 IoTのセキュリティは、ハードウエアとデータなど、トータルで考える必要があります。至るところに様々なデバイスやセンサーが設置されますが、100%安全と言い切れる状態で設置し続けることは不可能に近い。当然、常に盗難のリスクにさらされます。このデバイス内のデータをどうやって保護するかと考えたとき、暗号化では不安が残る。ならば、仮に盗まれたとして、データそのものは無意味化されているZENMUが最適だろうと考えたのです。
ZENMUによってIoTデバイスのデータを守ることは、もう1つメリットがあります。各デバイスはクラウドにデータを送信しますが、ネットワーク帯域や機器の処理性能などを考えると、すべてのデータをリアルタイムに送り続けることは現実的ではありません。しかも、データをためる側のクラウドは、従量課金によって、どんどん費用がかさみます。
しかし、ZENMUなら、非常に小さな容量のデータ一片だけをクラウドに送信しておき、あとはローカルのデバイス管理用のサーバーなどに保持。データが必要になったら、その分だけをクラウド側からローカル側に採りにいって、分散してあった一方と合わせ、復元して利用するという活用法ができます。これなら、ネットワークに負荷をかけすぎたり、クラウドの利用料に悩まされたりすることなく、安全にデータを扱えます。
当社は、この仕組みを実現するために、ZENMUを用いて効率的にログデータを管理する技術、データ片の大きさによって最適な通信経路を切り替える技術を開発し、ともに特許を取得しています。この技術をサーバーセキュリティやネットワークセキュリティ、エッジコンピューティングセキュリティと組み合わせることで、安全なIoT活用を実現できます。
桔梗原 まずは、どのような領域への適用を考えていますか。
竹之下 現在、進めているのが監視・防犯カメラへの適用です。コンビニのような小売店舗や銀行の店舗などで、盗難はもちろん、現場担当者によるデータの盗み見といった行為を防ぐためです。
加えて、現在、ZenmuTechと共に無意味化したデータ内から必要なデータを検索して取り出せる「秘匿計算」技術の検証にも着手しており、安全を守るだけでなく、データの高度な利活用までを実現できる仕組みを目指しています。これにより、IoTがビジネスを生み出す力を得られると考えています。
桔梗原 ZENMU SDKを利用して、ソリューションを開発してみた感想をお聞かせください。
竹之下 APIもシンプルで、ドキュメント類も充実しており、非常に扱いやすい印象です。
関連情報
ウフルのenebular(エネブラー)に関する情報は、こちら
ウフルとZenmuTechの共同特許「IoT時代に最適なログデータ管理の特許」の情報は、こちら
ウフルとZenmuTechの共同特許「IoT時代に最適なログデータ管理の特許 第二弾」の情報は、こちら
ウフル 竹之下氏のインタビュー記事(IoTNews)は、こちら
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